元気で長生きのために

肝臓専門医からのアドバイス

医療法人水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌 川西輝明 院長
札幌市中央区北11条西15丁目2-1 桑園メディカルプラザ3F TEL. 011-708-8080

改めて「にこたま療法」のお薦め

 私が前2回にわたって、お話した「にこたま療法」の実践を改めてお薦めしたい新聞記事がありました。
 今年1月新聞に掲載された国立病院機構京都医療センターの研究グループの発表です。
 同センターの「肥満・メタボリックシンドローム外来」を受診した体格指数(BMI)25を超える外来患者74人を対象に身体測定と詳細な血液検査を実施し、その関連を調べたところ、高血糖で血糖値を抑えるホルモン「インスリン」が増えた人は、骨格筋でつくられて筋肉の増加を抑えるホルモン「ミオスタチン」も増加し、筋肉が減る可能性があることを発見したというものです。
 研究では、ミオスタチンは骨格筋量が多いほど増えるので男性の割合が高いのですが、そうした影響を除いて分析してみても、骨格筋量の多少にかかわらず、インスリンが多いほどミオスタチンも多いことが明らかになったそうです。
 筋肉は血液から糖を取り込み、それを消費する働きを持っています。そこで筋肉量が減ると、血糖値が下がりにくくなるという悪影響が表れます。
 今回発表されたインスリンとミオスタチンの関係は、高血糖になり血中のインスリンが増えるとミオスタチンも増加して骨格筋が減少し、それが運動量や糖の代謝の低下につながり、生活習慣病に進展する可能性を示しています。
 この経路を解明すれば、肥満や糖尿病による筋肉量低下の程度予測や新たな治療法を開発したりする手掛かりになると研究グループは期待しているそうです。
 肥満や高血糖、糖尿病などになると、運動不足の影響ばかりでなく、体を支える筋肉(骨格筋)は弱る傾向にあることが分かってきましたが、そのメカニズムの詳細は不明です。
今回の発表により、メタボだと筋肉が減少する機序(仕組み)がまた一つわかってきたようです。
 血糖を理想的に保ちインスリンを適切な量にする生活が大事だと言うことが示唆されていますね。

肝臓とたばこ

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定を契機に、受動喫煙防止が進んでいます。しかし、禁煙対策が進めば受動喫煙はなくなるのです。
タバコは体に悪いのは知っているけどという方がたくさんいます。でも、吸ってしまう、吸いたくなってしまう。
 肝臓に対してタバコは何が悪いのか、発癌物質のせいで、肝癌ができやすくなる、毒物がたくさん混じっているので肝臓の無毒化の力を借りることになって肝臓に負担がかかる。ってな感じで、悪い話をしていけばきりがないのです。
 食後の一服は、肝臓にいく門脈の血流を減らしてしまい、肝臓が本来果たすべき役割を果たしづらくすることも知られています。
 しかし、体に悪いということを国が知っていて、タバコの広がりがまだまだあるという事実は、国民の健康を犠牲にして国の収入として考えてきたことといっても過言ではないのです。そのために医療費が上がっていることを無視して医療費を削減していく。なんとも、本末転倒です。
 タバコを吸うという行為は依存症の一つで、自分の力だけで辞めるということはとても難しい。できる人はいますが、普通はそうそう簡単に辞められない。
 少なくとも、子供たちがタバコを吸いたくなくなるように教育だけはしていって欲しい。
 吸い始めたら、国が責任を持って対応して欲しい、そう思う今日この頃です。

療養相談や診察での思い

■肝臓クリニック札幌の診察室(左)と待合室

 さて、肝臓クリニック札幌に来院される方は、健診で肝臓をしっかり調べるようにいわれた方、肝臓に腫瘍があると指摘されて肝がんを心配して来る方、ウイルス性肝炎や肝臓の病気があるがはっきりしないので心配な方、いろんな方がいらっしゃいます。
 はっきり診断がつく場合もありますが経過を見ながら治療方針を見つけていく方、肝臓以外に原因がある方もいたりします。いろんな先生方と連携を取りながら治療方針を立てていくこともあります。
 ウイルス性肝炎については、いろんな時期があり、その時々で受診される場合にそれぞれの先生方が適切な検査や治療をされていることがほとんどです。説明を聞いてもよく分からないこともあったりするかと思います。実際私が説明してもわからなくて他の先生に説明して頂くこともありますし、私の説明でわかったと安心してくれる方もいます。
 安心できるようにこれからの方向性がわかるように気をつけながら先生方は診療を行っていることがほとんどです。ですから、どういった事があって今の状況があるのかよく考えて、それまでの検査や治療が行われていたのだと納得して頂けるように関わっていくことも私たち医療従事者の役割と思っています。
 わからないことももちろんありますが、できるだけわかる方向性を見いだしていきたいと努力していきたいと思います。
 とりとめの無い話になってしまいましたが、一人でも多くの方が安心して元気で長生きにつながるようこれからも頑張って生きたいと思います。
    今後ともよろしくお願いいたします。

◆寄稿:医療法人 水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌  院長 川西輝明氏
「メディカルページ札幌2019夏号」(令和元年7月12日発行)の冊子に掲載された記事です。


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