瞼(まぶた)のピクピク・・・眼瞼(がんけん)けいれんですか?
新川中央眼科 小川 佳一 院長
札幌市北区新川3条7丁目1-64 TEL 011-769-1010
気になる瞼(まぶた)のピクピク。この症状を訴えて来院する患者さんの中には、眼瞼(がんけん)けいれんではと心配する人も多いといいます。新川中央眼科の小川佳一院長に説明していただきました。 |
「瞼(まぶた)がピクピクする」…そんな症状を訴えて来院される患者様は多いです。
瞼がけいれんしているから眼瞼(がんけん)けいれんでしょうか?
実は「眼瞼けいれん」で瞼のピクピクを自覚することはほとんどありません。
自覚症状でピクピクを感じるのは「眼瞼ミオキミア」という状態であることが多いです。
その原因については、全てが解明されているわけではありませんが、目の周りの筋肉(眼輪筋)が疲れて勝手に収縮を繰り返すものと考えられています。
また、筋肉のむくみや凝りなどが神経を圧迫して、神経を走る情報に乱れが生じている可能性も指摘されています。
ストレスや目の疲れが誘因
基本的にストレスや目の疲れが誘因となって起きることが多いといわれています。
パソコン、スマホなどのデジタル機器によるテクノストレスは疲れ目の原因となるだけでなく、眼輪筋などの血流の悪化にも繋がっています。まぶたがピクピクする程度では問題ありませんが、ドライアイや眼精疲労などを誘発する可能性も大いにあるため、休憩を十分に取ったり、遠くの景色をしばらく眺めるなどの対策も必要です。
また、ホットアイマスクや蒸しタオルなどで目を温めることで、目の周囲の血流が良くなり疲れが回復しやすくなります。
この病気では、症状が悪化することはありませんし、2~3日続いた後に消えたり、再び現れたりしますが、顔面のその他の部位がけいれんを起こしていない場合は、全く心配する必要はありません。
長い時には半年くらい断続的に続くこともありますが、ゆっくり休息を取るようにして経過を見ていただいて構いません。
眼瞼けいれんとは
本物の眼瞼けいれんでピクピクというけいれんを自覚することは稀です。
眼瞼けいれんの症状は「開瞼失調」だからです。
眼瞼けいれんは、「まばたきの制御異常」もしくは「開閉瞼の切り替え故障」と捉えると分かりやすいです。
まばたきや、瞼の開閉を制御しているのは脳の神経回路です。症状は目のあたりにありますが、故障部位は脳のコンピュータということになります。ただし、MRIやCTなどでは故障部位は映りません。
瞼のこうした運動障害に加えて、まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾く感じなど感覚過敏があるのも特徴です。さらに抑うつ、不安、不眠など精神症状を持つ人も半数近くあり、うつ病などと間違えられることもあります。
治りにくい病気で、40~50歳以上に多く、女性は男性の2.5倍もかかりやすいのです。
目がまったく開けられないほど重症な例は少ないですが、一見しただけでは分からないような軽症例を含めると、日本には少なくとも30~50万人以上の患者さんがいると推定されています。
原因不明の病気のため、まだ根本的な治療法は確立されていません。症状を抑えるために薬物内服療法を用いることもありますが、現在ではボツリヌス療法が主流となっています。
この治療法で用いられる「ボツリヌス毒素」は美容業界でシワとりなどに使用されています。「ボトックス」という言葉なら聞き覚えのある人が多いかもしれませんね。
眼瞼けいれん自己診断の10ポイント
心配な人は、井上眼科病院名誉院長の若倉雅登氏が考案した「眼瞼けいれん自己診断表」(別表)でチックしてみてください。
該当する箇所が0個なら正常、1~2個は眼瞼けいれんの疑い、3個以上なら眼瞼けいれんの可能性が高いです。
まばたきでもチェック
また、3種類のまばたきでチェックすることもできます。まずはギュッと強いまばたきをして、次に軽いまばたきをする。
ぎくしゃくしないかどうかを確認してください。さらに、10秒間でできるだけ早くパチパチとまばたきをして、30回以上できれば問題ありません。途中でつかえたり、リズミカルに速いまばたきができなかった人は眼瞼けいれんの疑いがあります。
眩しさや、ドライアイなどの症状があり、セルフチェックで点数の高い方は一度眼科で相談してみてください。
◆寄稿:新川中央眼科 院長 小川佳一氏
新川中央眼科
札幌市北区新川3条7丁目1-64
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