「ワクチン・ラグ」その2
コラム投稿:
わたなべ小児科・アレルギー科クリニック 院長 渡辺 徹
ワクチン・ラグとはワクチン・ギャップとも言われ、世界では常識的行われているワクチン接種行政が、日本では行われていない日本の遅れたワクチン事情を表す言葉です。
乳幼児の重い感染症である細菌性髄膜炎の主な原因菌であるインフルエンザ菌(ヒブ)のワクチンは、多くの先進国で20年も前から無料接種されています。同じく細菌性髄膜炎の原因菌である肺炎球菌に対するワクチンも、欧米では10年前から無料で接種され、この二つのワクチンの効果により細菌性髄膜炎はほとんど過去の病気になりました。子宮頚癌予防ワクチンは欧米から5年ほど遅れてやっと使用できるようになりました。これら3種のワクチンは特別措置として無料で接種できるようになり接種率も増加してきましたが、3種混合ワクチンやMRワクチンのような定期接種ではないために今後も無料で接種できるかどうかはわからない状況です。
乳幼児に重い腸炎を起こすロタウィルスに非常に効果のある経口生ワクチンは2011年11月から利用できるようになりましたが、公的助成がないために2回の接種で2万8千円ほどの費用がかかるので高い接種率は望めそうもありません。
日本ではよく見られるみずぼうそうも、アメリカではワクチンが2回無料で接種されているのでみずぼうそうの患者さんはほとんどいないのです。
このほかにも、B型肝炎ワクチンの無料化、不活化ポリオワクチンの採用、百日咳ワクチンの追加接種など、すでに世界では当たり前に行われているワクチン行政が、日本でも早く行われて子ども達の健康に貢献できるように願っています。
■平成23年12月10日発行 メディカルページ平成23年度改訂版掲載
わたなべ小児科・アレルギー科クリニック
小児科・アレルギー科
札幌市手稲区曙1条1丁目1-25 TEL 011-699-1000
開業/平成18年10月
オフィシャルページへ/詳細ページへ