「分かりやすい泌尿器科の病気」

clm_ika15docコラム投稿: 
医療法人社団 伸孝会 ていね駅前泌尿器科 院長 砂押 研一

「読者に分りやすく泌尿器科の病気についてお伝えしたい」という砂押医師。
今回は誰でもなる可能性のある尿路感染症について説明してもらった。

clm_ika15a尿路とは、尿の通り道のこと。腎臓で作られた尿は最初に腎盂に流れ出し、そこから尿管、膀胱と流れ、尿道から排出される。これらの尿路には、原則的には細菌が存在しない。一方、口から肛門までの消化管や皮膚表面など、細菌は体中どこにでも存在し、いわば人間と共存状態にある。そのどこにでも居る細菌が、尿道から尿路に侵入し感染を起こすと「尿路感染症」になる。尿道に炎症を起こせば「尿道炎」、膀胱ならば「膀胱炎」だ。ここでまず、体の構造上の違いから同じ感染症でも男女によって傾向が分かれることをおさえておきたい。まず女性に圧倒的に多い尿路感染症が膀胱炎だ。女性は男性に比べると尿道が非常に短く、さらに通常細菌が存在する肛門や膣が近いため、細菌が尿道から入りやすい環境にある。男性の場合は細菌が入ってきたとしても、膀胱にたどり着く前に尿と一緒に流れていくことが多く、膀胱炎にはなりにくい。「もし細菌が侵入してきても、膀胱粘膜に住み着く前に尿と一緒に排出されれば、膀胱炎にはなりにくいのです。しかし必要以上に尿を我慢したりしていると、それだけ細菌を長く膀胱内にとどめておくことになり、膀胱炎を発症しやすくなります」と砂押医師。適度に水分をとりあまり我慢せずに排尿をすること、風邪や過労による体力=免疫力の低下を防ぎ、栄養のある食事をとること、さらに下着は適切に取り替え、陰部を清潔に保つことなどが対策のポイントとなってくる。

それでも膀胱炎になっていしまった場合はどうすれば良いのだろうか?「膀胱炎だけでは発熱もしませんし、適切な薬を飲めばすぐに良くなります。しかしその細菌がさらに腎臓まで行けば「腎盂(う)腎炎」となり、発熱などの症状が現れ、重症化することもあります。ですから症状がある場合は速やかに泌尿器科に受診してください」とのこと。ちなみに膀胱炎の検査は、基本的に問診と尿検査のみで面倒な検査は必要ないとのこと。風邪を引いて内科に受診するのと同じように、比較的気軽に受診できそうだ。

では男性が気をつけたい、最近問題になっている尿路感染症とは?ズバリこれは尿道炎であり、クラミジアや淋菌などの微生物が、性行為を介して感染し発症することが多い。これは「性感染症」と呼ばれ、女性なら婦人科の対象になる。しかし近年は性生活も多様化し、口を使ったオーラルセックスでは、女性の咽頭粘膜に感染する場合もある。このような場合、一般に女性は無症状で見過ごされるため、気づかぬうちに感染源となっているケースが珍しくない。「特にオーラルセックスなどの性的サービスを行う風俗店に行ってから、排尿時の痛みなどを引き起こし受診する男性が多いです」とのこと。
治療は難しいのだろうか?「ほとんどは抗生剤の内服で良くなりますので難しいことはありません。しかし淋菌は薬が効きにくくなっており、注射が必要なことが多いです。そして特に問題なのは、症状がほとんどない場合があり、その様なケースでは知らぬ間に他の女性に感染させている可能性もあるということなのです」クラミジア感染などの炎症が存在すると、無症状でもエイズになる危険も高まるといわれている。

正しい知識を持ち、もし気になることがあれば泌尿器科に相談するのが得策と言えそうだ。


■平成23年12月10日発行 メディカルページ平成23年度改訂版掲載


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