音響や振動・微粒子の計測器も販売する岩崎電子

日本補聴器販売店協会が目指す適正供給に北海道支部長として尽力

岩崎電子株式会社
代表取締役社長 岩崎 充佳 氏
札幌市中央区南2条西3丁目東南カド TEL 011-231-2002

北海道を代表する補聴器専門店として知られる岩崎電子株式会社は、補聴器以外にも医療用検査機器や各種の計測器も販売しています。また、同社の岩崎充佳社長は、一般社団法人日本補聴器販売店協会の北海道支部長の要職にもあります。今回は同協会の取組みや補聴器以外の同社の取り扱い製品についてお聞きしました。
<取材協力>
岩崎充佳 氏
(岩崎電子株式会社 代表取締役)

3月30日付けで専務取締役から代表取締役に就任されました。改めて社長ご自身の略歴をお聞きしたいのですが。

 ■岩崎充佳社長

■岩崎充佳社長

もともと理系・技術系の仕事に興味があったので、地元の大学(北海道大学)に進み、その後同大大学院の電子工学専攻に2年間進学しました。在学当時は、光関連技術の研究をし、電子情報通信学会で光伝送の研究についての学会発表等も行いました。当時は、まだ技術的に発展途上でしたが、自分自身も将来必ず主流となると当時考えていました。
特に高速大容量通信である光通信システム開発の仕事に興味があったため、平成2(1990)年に大学院修了とともに電機メーカー(三菱電機株式会社)へ就職をし、鎌倉市に移り住みました。入社後、神奈川県鎌倉市大船の通信システム研究所に配属となり、自分の専門分野でもある光通信システム開発の仕事に携わり、現在のNTT光通信システムや光海底ケーブル通信等々に繋がる技術開発を行いました。とても忙しくも大変充実した中で11年間勤めさせて頂きました。

岩崎電子に戻られた理由は?

35歳の時、大変悩みましたが、岩崎電子が、これまで辿ってきました歴史と重み、地域での重要性を考え、平成13(2001)年春に戻る決心をしました。補聴器は難聴の方々の生活を豊かにするサポート役です。経済活動を担う分野である通信と比べて、より社会性の高い業界としての魅力を感じたことも大きかったと思います。
当時は全くわからない補聴器業界でしたから、ゼロからの再スタートでした。平成13(2001)年の1年間はリオン株式会社に研修という形でお世話になりました。岩崎電子は補聴器、耳鼻咽喉科向けの医療検査機器、音響振動計測器などのリオン製品の全てを取り扱っている北海道の総代理店ですので、全分野にわたって基礎からしっかりと勉強をさせていただきました。当時のリオンの方々にはお忙しい中大変お世話になり、とても有意義な1年間だったと思います。翌年の平成14(2002)年に岩崎電子に入り、各部門統括を主業務として行い、平成28年3月30日に代表取締役に就任をさせて頂きました。難聴者の豊かな生活と社会参加への支援を目指し、今後は社員と共に地域への貢献も含めて、より一層精進してまいります。

岩崎電子株式会社代表取締役の一方で、一般社団法人日本補聴器販売店協会の北海道支部長の立場にもありますが、同協会について教えてください。

日本補聴器販売店協会では、補聴器の適正な供給体制の確立に向け、「資格者(厚生労働省の傘下にあります公益財団法人 テクノエイド協会が認定する認定補聴器技能者)による対面販売と資格者在籍の義務化」の実現を目指して活動しています。補聴器ユーザー、医療・介護・福祉等の関係機関はもちろんのこと、もっとより多くの消費者の方々に信頼と安心をお届けできるよう、適正な供給体制の構築を目指しています。

同協会北海道支部長として取り組んでいらっしゃることは?

北海道内には多くの補聴器販売店があります。残念ながらこの中には、補聴器販売に必要な知識、技術レベルが不十分な販売店も数多くみられます。北海道内の補聴器販売店の質向上のためには、各販売店の補聴器に対する知識・技術の向上が必須です。このため、毎年講師を招いて協会加盟店向けにさまざまな知識と技術向上のための講習会を支部長として企画し、開催しています。耳鼻咽喉科医師や福祉行政の方をお招きすることもあります。まだまだ道半ばですが、難聴者の方が安心して補聴器を購入できる環境を北海道内に整備していくことが、自分の責務であると考え、活動をしております。

御社といえば補聴器というイメージが強いのですが、医療用検査機器も扱っていますね。

医療用検査機器には幅広い種類がありますが、当社は大学病院、総合病院、開業医院の耳鼻咽喉科向けの検査機器・設備を取り扱っています。患者様の聴力検査を行うオージオメータ・誘発反応検査装置・耳音響放射検査装置等、中耳炎の診断等を行うインピーダンスオージオメータ、眩暈の検査を行う眼振計、電子カルテシステム、防音室等々の医療用検査機器を取扱っています。提供する各種医療用検査機器は、その先進機能はもちろん、毎日の使用に耐えられる堅牢性や使いやすさ、さらには全道に行き渡るサポート体制によって、高い評価をいただいています。

各種の計測器について教えてください。

■岩崎電子が扱う計測器の一例

■岩崎電子が扱う計測器の一例

道路交通や工場、建設現場、航空機など様々な騒音を監視する騒音計から、工場設備の保守保全や製品開発における性能試験、振動公害への対応に欠かせない振動計、そして社会インフラの保全に貢献する地震計など、当社では、騒音計や振動計に代表される音響・振動計測器を取り扱っています。
音や振動は常に生活をする我々の周りを取りまいており、「環境」は21世紀のキーワードともいわれます。当社の音響・振動計測器は、環境行政や産業の多彩なニーズにきめ細かくお応えし、静けさと、快適な環境、安全な生活を求めて、あらゆる分野で活躍しています。
当社は音と聞こえの専門企業ですが、唯一そのカテゴリーから外れる製品が微粒子計測器(パーティクルカウンタ)です。病院の手術室やエレクトロニクス産業、医薬品、食品製造など、各分野を支える様々なタイプのものを提供しています。
これもリオンの製品で、手術室や半導体などデバイス製造工場など、空気中のちりやほこりなど目に見えない粒子がどれくらいあるかを測るのが気中、血液中の不純物や水道の水質などを測るのが、液中パーティクルカウンタです。

最後に社員の方に徹底している方針などはありますか。

当社は社員教育方針として、補聴器の販売員全員に厚生労働省の傘下にある公益財団法人テクノエイド協会認定の認定補聴器技能者の資格をとらせるよう、日々の仕事を通して教育を行います。現在社内には25名の認定補聴器技能者がおり、取得過程の者も多数おります。
しかしながら、認定補聴器技能者資格は補聴器の専門店で仕事をする以上は基本的に持っていて当たり前の資格であり、決してゴールではなく、ここからがスタートと考えています。資格を取る真の目的は難聴者に対して、よりよい対応ができるよう社員一人ひとりが幅広く勉強することであり、資格取得後もこれは変わることはありません。
補聴器も日々進歩しており、お客様にもさまざまな聴力タイプがあります。お客様からもご家族からも信頼されて、ファンになっていただけるような対応ができるように努力し続けることが重要です。
社内で定期的に販売員の勉強会も開いており、また日々の店内カンファレンスでお客様への対応を常にチェックし、質を向上する努力を継続しています。このようにして、補聴器のフィッティングに関して若手の社員が先輩社員からのアドバイスを受ける機会も作っております。これを地道に継続し、社員一人ひとりが岩崎電子のファンを増やしてくことが重要と思います。

(取材日:平成28年4月5日)

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