ドクターに聞く「日光角化症」について
●ひろせ皮フ科クリニック
広瀬 るみ 院長
札幌市東区北42条東16丁目1-1 N42メディカルビル3階
TEL 011-789-2888
よく見かける高齢者の顔にできた紅いシミやかさぶたなど、もしかしたら日光角化症(にっこうかくかしょう)かもしれません。 |
日光角化症(にっこうかくかしょう)とは
「日光角化症」とは、日光(紫外線)がよく当たる高齢者の顔や頭などにもっとも多く発症する皮膚の病気です。60歳を過ぎてから発症することが多いので「老人性角化症」とも呼ばれます。
日光角化症は、痛みやかゆみの自覚症状はほとんどありません。このため、治療しないで放置すると、一部10%~30%の割合で有きょく細胞がんへと移行する可能性があります。この有きょく細胞がんは、転移する可能性がある皮膚がんです。
どのような条件で、いつ、日光角化症が有きょく細胞がんへと進展するかについては現在解明されていないため、日光角化症の段階での適切な治療が大切だと思います。
日光角化症は家族が見つける病気です
まず、おじいちゃん・おばあちゃんの顔や頭部を入念に見て下さい。紅くまだら状のシミがないか、黄色味がかった「かさぶた」がついたシミがないか、表面がザラザラしてないかを見ます。また、シミの形が不規則で、皮膚との境が不明瞭ではないかを見ます。触ってみて少し硬いかどうかも確かめて下さい。このようなシミがあったり、そのシミが少し硬かったら早めにかかりつけのお医者さんか皮膚科へご相談下さい。日光角化症チェックシート(左図)を利用して是非チェックしてみて下さい。
症状について
日光角化症は、主に5つの臨床病型に分類されます。その中でもっとも多くみられる症例は、「紅班(こうはん)型」と呼ばれるタイプです。紅色の平らな病変で、表面にカサカサしたウロコ状のものやかさぶたが見られます。「色素沈着型」は、淡い褐色~濃い褐色のまだら状のことが多く、ほぼ平らな病変ですが、やや盛り上がることもあります。また「疣状(ゆうじょう)型」は、皮膚の表面が角化し、イボのような皮疹が見られます。角化した皮膚のまわりは、紅色になっていることが多いです。その他、疣状(ゆうじょう)型の角化がさらに進んで硬いツノのように隆起する「皮角型」と盛り上がっていて表面にはカサカサしたウロコ状のものやかさぶたが見られる「肥大型」などがあります。
治療法について
まずは外科的な治療法として、局所麻酔を行い、患部をメスで切除する「外科切除」があります。また、外科切除が困難な場合には、局所麻酔は行わず、液体窒素をひたした綿棒などを幹部に押し付けて凍結・壊死させて除去する「凍結療法」があります。
これまでは、この外科的な治療法が主でしたが、2011年11月に健康保険が適用される塗り薬が承認されたことにより「薬による治療法」という選択肢が増えました。薬による治療法は、1日1回、週3回、自分で患部に直接塗布する治療法と、1日1~2回塗布し、塗布後にラップ類で覆う密封包帯療法(ODT)が推奨されています。
当院では、使用日チェックシートを配布し、患者さんがご自分で薬をぬる治療法をすすめています。具体的な使用方法は、適量を1日1回、1日おき、例えば月・水・金というように週3回、就寝前に患部とその周辺に5㎝四方(25㎝2)までを目安に塗ります。そしてそのまま約8時間保ち、その後石けんと水やお湯で洗い流します。これを4週間繰り返し(コース1)、受診していただきます。薬の効果があらわれ、日光角化症が治った場合は治療終了となりますが、まだ治らない場合は、もう一度週3回4週間(コース2)薬を塗ってもらいます。多くの症例が、この8週間で治療の効果があらわれています。
まずは日光角化症チェックシートでチェックし、気になりましたら早めに受診することをお勧めします。
ひろせ皮フ科クリニック
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