ドクターに聞く「変形性膝関節症について」

奥泉整形外科
奥 泉 知 郎  院長
札幌市東区北41条東8丁目3-7 TEL 011-731-2161

年を取るにつれ、膝(ひざ)の痛みに悩まされている方が多いようです。では、その膝の痛みにはどんな病気があるのでしょう。
今回は高齢者に多く見られる「変形性膝関節症」について、奥泉整形外科 奥泉知郎院長に語っていただきました。
<取材協力>
奥泉 知郎 氏
(奥泉整形外科 院長)
「メディカルページ平成24年度版」(平成24年8月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

どのような患者さんが多いですか?

■奥泉 知郎 院長■奥泉 知郎 院長

整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。背骨と骨盤というからだの土台骨と、四肢を主な治療対象に、身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療します。
当院は、比較的高齢者の患者さんが多く、膝の痛みや関節の痛みを訴える方が最近増えています。特に膝の病気では変形性関節症の割合が高いです。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝関節への荷重バランスの偏りをきっかけに膝関節機能が低下して、膝軟骨や半月板などのかみ合わせが緩み、次第に炎症が起こり、水(関節液)がたまったり、痛みが出現して膝関節全体の形態変化(O脚やX脚など)と機能障害をきたす病気です。長年にわたる膝の酷使や加齢など原因が明らかなものがなく、じわりじわりと痛くなる一次性変形性膝関節症と外傷や特発性骨壊死などが原因で起こる二次性変形性膝関節症があります。一次性は50歳以上の中高年者の膝関節疾患の中で最も多く、日常診療で接する疾患としては腰痛に次いで多くみられます。病態が進むと、関節軟骨が摩耗するために大腿骨と脛骨の間で骨と骨が接するようになります。

その症状と治療法について

初期には、歩き始めの痛みや座位からの立ち上がり時の痛み、膝屈伸時の痛みなどが多く、進行すると階段では手すりを使い片脚から一段一段降りるようになったり、長距離歩行が辛くなり、杖が必要となる場合もあります。O脚など下肢アライメントの変化により、大腿四頭筋が痩せてくると、より膝内側への負荷が強くなり変形が進行します。肥満や軽微な膝の捻りでも半月板や靭帯を痛めることで、軟骨の摩耗が進行していくこともあります。
予防としては、膝を酷使しないような形で下肢後面(ハムストリングス)のストレッチや膝関節の安定性を高めるための大腿四頭筋の筋力訓練を行うことが大切になります。また、足の踵の外側を高くした足底挿板や膝用装具の使用も有用です。さらに、痛みの軽減を目的として薬物療法、ヒアルロン酸の関節内注射、温熱療法などが行われます。
さまざまな保存療法を行っても効果が得られない場合は、手術療法が考えられます。MRIや診察で半月板の断裂が確認され歩行や屈伸時痛の主因となっている場合には、鏡視下半月板切除術を、軟骨の一部が剥がれて関節内部で変なひっかかりをきたす場合には、軟骨の形を整える軟骨デブリードマンなどを行います。それでも痛みが取れない場合には、適応を考慮して高位脛骨骨切り術や片側型人工関節置換術や全膝人工関節置換術によって痛みを取り機能を改善する方法があります。
当院では、関連病院と密に連携を取りながら、外来で診ている患者さんを関連病院で手術的に加療も行い、退院後も当院でリハビリを行えるシステムを構築しております。

リハビリテーションについて

toku09c変形性膝関節症に対する下肢筋力訓練のほかに、五十肩で固くなった肩の可動運動や、腰痛予防の体操などの運動指導なども行っております。温熱療法やストレッチなどで局所の組織の血流を改善させながら、患者さんの状態に合った形で安全に筋力増強訓練指導を行っておりますので、ご高齢な方でもお気軽にご相談下さい。

toku09d関節軟骨が摩耗すると、軟骨片が関節内に流出し、関節包の内側にある滑膜の表層細胞により貧食(取り込まれる)されます。軟骨片は異物と認識され、身体の中で免疫反応が起こり、物理・化学的刺激に対して、それを押さえ込もうとする白血球、リンパ球などが動員されて、その場所の異常を解消しようとした活動の結果、滑膜炎が起こり、水がたまるようになります。パンパンにたまって腫れている場合は注射器で水を抜く治療が必要となりますが、『決して水を抜いてもクセにはなりません。』しかし、水がたまる原因となる軟骨の摩耗や半月板の断裂など無いかどうか、整形外科に受診して診察を受けた方が良いでしょう。

奥泉整形外科
札幌市東区北41条東8丁目3-7 TEL 011-731-2161
■休診日/日曜・祝日
http://www.okuizumi-orthopedics.com/