「栄町消化器・内視鏡内科クリニック」の紹介
コラム投稿:
栄町消化器・内視鏡内科クリニック 院長 佐藤 龍
●開業の理由
勤務医時代にイムス札幌消化器中央総合病院(旧琴似ロイヤル病院)や名寄市立総合病院での消化器内科立ち上げを担当し、新しいことをはじめることの楽しさと大変さを学びました。次は自分のクリニックをつくりたくなりました。それが理由のひとつ目。 そして大きな病院では、外来を担当していると患者さんの待ち時間が長くなるので、自分で内視鏡の検査はできませんから、別の医師が内視鏡検査をします。逆に内視鏡を担当していると説明をする時間がないので別の医師が検査後の説明をします。クリニックであれば,自分で内視鏡をやって、その後自分で説明をして処方まで行い、治療の経過をみることができる。つまり一貫して最後まで出来るというのが開業した大きな理由の2つ目です。
●開業医に要求されるものは
開業医は技術よりも診断力が大切だと思います。大腸内視鏡検査で例えると病変を治療するだけではなくて、まず見つける。次にその病変を内視鏡で治療するべきか、経過をみるだけでよいのか、それとも手術が必要なのかを判断をします。つまり病変を見つけない限りは次のステップには進めないのです。そして治療方針を決定するためには診断が必要だと思っています。 私は,消化器内科と内視鏡内科を専門にしていますが、開業医は家庭医,かかりつけ医が求められると思います。便潜血や検診での要再検査など消化器疾患のみならず、一般内科すべて診察を行う必要があります。専門的な治療や相談が必要な場合は地域の病院と連携をとっていくことが重要です。 内視鏡内科としては、例えばピロリ菌を除菌された方の中には除菌してピロリ菌がなくなったら、がんにならないと思っている方がいらっしゃいますが、決してそうではありません。最近は除菌後の胃がんはみつけにくいことが、わかってきました。精度の高い内視鏡を使って検査を行うことで早期発見を増やすことができる可能性があります。大きい病院では検査の予約や待ち時間が長いことも少なくはありませんので、クリニックでも定期検査やしっかりした検査ができればよいなと思っています。
●当院の理想と理念
胃がんの疑いや大腸のポリープがあった時に内視鏡の専門病院では、顕微鏡の付いた拡大内視鏡やNBIやBLIという短い波長の光をあてて、それが腫瘍かどうかという検査をします。一般的なクリニックにはない内視鏡ですが、内視鏡内科として開院するに当たって、導入しました。
採血も、クリニックではセンターに検査を依頼することが多く、結果が分かるのは翌日以降です。患者さんに数値が悪いから、すぐ大きな病院に行ってくださいと話すのも翌日になってしまいます。当院では急性期の患者さんでも、院内で検査をして30分ほどで結果が分かります。 CTやMRIを撮れないなど限界はありますが、診断やポリープ切除などの治療も、クリニックとしてやれることをしたいというのがコンセプトです。
●内視鏡の選択
内視鏡検査を経口か経鼻で受ける判断は、しっかり見て欲しいかどうかによると思います。最近の経鼻内視鏡は画質も、吸引も進歩してきていますが、経口(口から)内視鏡には及びません。前述のとおり除菌後胃がんは、粘膜の再生が伴ってくるのでみつけにくく診断が難しい胃がんが存在することがわかってきました。当院の経口内視鏡には拡大観察が可能なので怪しいところは、拡大観察を用いてより詳細に観察を行うことができます。また欧米化にともなって今、日本で増えてきているバレット食道がんなども、経鼻内視鏡での発見や診断には限界があります。 一方で、経鼻内視鏡は患者さんへの負担が少なく鎮静剤を用いないというメリットがあり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの診断は十分可能です。当院では一番新しい機械を使っていますので、経鼻でも格段に良い画質が得られます。
●鎮静でも安全を重視
時代のニーズに応えたクリニックを目指しています。
内視鏡技師の資格を持っているスタッフがおり、経験も豊富です。でも、患者さんの中には内視鏡に恐怖心を持っている方もいて、日本の病院では患者さんが不安な時に麻酔を使いますが、欧米では、鎮静剤を使っての検査が一般的となっています。しかし、内視鏡学会の検討では鎮静剤に関与した偶発症、死亡例も認められるため、全身麻酔ほどの鎮静は推奨されておらず、がっつり寝かせてほしいという要望にはお答えできません。
当院では、鎮静による内視鏡検査の場合、検査後の安全のために麻酔が切れるまでお待ちいただく回復室を2階に2室つくりました。鎮静剤はある程度体内に残るため、車を運転して来られた方には使用できません。
●機能性ディスセプシアについて
消化器の疾患の中にはFD、機能性ディスセプシアという病気があります。内視鏡では異常がみられないため内視鏡を専門とする先生にはあまり得意としない分野かもしれません。実際にこの病名が世にでてからFDと病名をつけられている先生はあまり多くないようです。内視鏡では異常がないわけですから、原因が判定できずにおわることも少なくありません。しかし、胃が痛いと病院を受診される患者さんの2人に1人はこの機能性ディスセプシアというデータもありますので、よくみられる疾患の一つだと思っています。 今の時代、患者さんは病名がつかなくて、異常はないからで終わってしまうことを心配されていることが多いのではないでしょうか?この病気を知っていれば、「内視鏡では異常ありません。機能性ディスセプシアです」と患者さんに説明もできます。機能性ディスプシアと病名をいってあげて、こういう病気だから問題ありませんと話すことで患者さんには安心感が出るし、ストレスが原因であることも少なくないので、不安が取り除かれて、良くなる方もいらっしゃいます。
◆趣味など数年前からジグソーパズルにはまっています。基本的に2000ピース以上しかやりません。ひと月くらいかけてゆっくり作成するんですが、ここ2ヵ月くらいは開業準備もあって全然できなかったですね。時間をかけてゆっくり、治療もスタッフも似ていると思っています。できないことはじっくり時間をかけていく。これまでは研修医の指導に携わることも多かったので、研修医が出来るようになった時の達成感というか、満足感は大きくて、パズルも似たような感覚ですね。ゼロから始めて、最後に出来た時の達成感。開業したので、指導する後輩がいなくなったのは淋しく思っています。 |
栄町消化器・内視鏡内科クリニック
内科・消化器内科・内視鏡内科
札幌市東区北40条東15丁目2-5 TEL 011-711-7149
開業/平成29年4月
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