「熱性けいれん」について
コラム投稿:
医療法人社団すえおかこどもクリニック 院長 末岡 裕文
●熱性けいれんとは
熱性けいれんとは、子どもが急に発熱をおこした時に、ひきつけを起こすことをいいます。1歳前から4歳くらいまでの子どもがなりやすく、頻度は10人に1人くらいと、それほど珍しい病気ではありません。また、兄弟姉妹や親子で起こすなど、家族性があることがわかっています。原因は、子どもの脳というものは未熟で、急な発熱に対応しきれなくてひきつけという症状を起こしてしまうと考えられています。ひきつけ自体は脳にとって興奮状態なので、ひきつけの後は抑制状態になり、寝てしまうことが多いです。この寝ている状態を意識がないと判断されるときがありますが、これは顔色などが問題なければ、静かに寝せておいて大丈夫なので、十分な観察をしてください。
●単純型と複雑型
熱性けいれんは単純型と複雑型の二つに分類されます。
単純型とは、①発作の持続時間が15分以内。②手足のけいれんが左右対称。③発作の後に麻痺を残さない。④24時間以内に繰り返さない。などの特長があります。
複雑型は単純型でないものです。つまり、①持続時間が長い。②左右対称性でない。③麻痺を残す。④24時間以内に2回以上繰り返す。などの特長があります。複雑型は頭部CT、MRIや脳波などの検査をして、慎重な経過観察が必要になることが多いです。単純型はそれほど心配なことはありませんが、繰り返し起こすときは、複雑型と同じような検査が必要なこともあります。
●対処方法について
実際にけいれんを目の前にした時は、あわてると思いますが、発作だけで生命が危険にさらされることは極めてまれですので、決してあわてないで下さい。昔、口の中に指や物を入れた時がありましたが、指をかまれたり、入れたもので窒息する危険のほうがありますので、決してそういう行為はしないでください。ただし、吐いたときは窒息の危険性がありますので、顔を横に向けて誤飲しないように注意してください。また、発作を起こした時は、時計を見て、発作の持続時間を計ってください。終わるまで長く感じると思いますが、大体は5分前後で終わります。もちろん呼吸状態や顔色には気を付けてください。
●予防法について
熱性けいれんは定義の通り高熱に伴ってひきつけを起こすものです。単純型で1回位なら何もせずに様子を見ていてかまいません。しか
し、何回も起こすようになったら予防法をとります。具体的には、37.5℃程度の微熱に気づいたらダイアップ座薬という、ひきつけ予防薬を使用します。熱さましは経口薬の場合はすぐに使っても構いませんが、座薬のほうは30分以上あけてから使用してください。30分以内だと、ダイアップ座薬の効果が低下してしまいます。そして8時間後に38℃以上あれば、もう一度ダイアップ座薬を使用してください。詳しいことは主治医の先生とよく相談してください。
医療法人社団 すえおかこどもクリニック
小児科
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