手術治療を提供するサージクリニックについて

耳鼻咽喉科は首から上の脳と目を除く全ての領域を担当します

医療法人社団 桂翔会 耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック桝谷将偉 院長
札幌市厚別区厚別中央2条5丁目6番3号 デュオ2-4F TEL.011-801-4133


 私は北海道札幌市厚別区にあるJR新札幌駅直結のDUO2という商業施設内にある「桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック」で日々診療を行なっております。
 北海道では「サージクリニック」という言葉はあまり馴染みがないかと思います。そもそも「サージクリニック」ってなに?とよく質問を受けるのですが、簡単に言いますと、「手術を行うクリニック」という意味です。
 一般的なクリニックですと、飲み薬などで治療効果がなく手術が必要となった場合、入院出来る大きな病院へと紹介され、そこで治療を受けるという流れになるかと思います。特に耳の手術に関しては、道内では全身麻酔下に行うことが多く、手術後に麻酔からさめて状態が回復するまでに時間がかかるため、術後に十分な経過観察期間が必要となります。そのため、どうしても入院が可能な病院での治療が必要となってしまうのです。
 そこで当院では、「局所麻酔下」と「耳鏡や内視鏡」を併用した治療を行う事でこれらの問題を解決し、日帰りでの手術を可能としております。

局所麻酔下と耳鏡や内視鏡併用治療を取り入れた経緯

■図①

 もともと私も全身麻酔での治療をメインに行っておりました。その中で、他の合併症のために全身麻酔がかけられず経過をみるしかないという症例を経験いたしました。そのため、より良い治療方法を求めて全国の耳の手術専門医のもとを訪れました。そこで出会ったのが仙台中耳サージセンターの湯浅涼医師、湯浅有医師、そして東京女子医大東医療センターの須野瀬弘教授が行なっている「局所麻酔下」による耳の手術でした(現在、本州には局所麻酔による耳科手術はこの他にも数施設あります)。
 当時の私は「本当に局所麻酔で手術ができるのか?」と懐疑心を持っておりましたが、実際にその手術の様子を見学させていただき本当に驚き、と同時に、この技術を習得して耳の症状で困っている北海道民のために医療を提供したいと思ったのです。また、運よく湯浅涼先生が企画しSPIO(公益財団法人国際耳鼻咽喉科学振興会)の協力のもと実現した、ブータン王国での第一回ボランティア耳科手術にも参加することができ、同活動内で湯浅涼先生が行う「局所麻酔下耳鏡下耳内耳科手術」の凄さを目の当たりにし、心底その技術に惚れました。
 そこで海を渡り、湯浅涼先生が理事長を務める仙台中耳サージセンターに国内留学し「局所麻酔下耳鏡下耳内耳科手術」の習得に努めました。この手術は、通常耳の後ろを大きく切開して耳の中にアプローチしていくのに対して、内径6㎜以下の「耳鏡」と呼ばれる筒を通して耳の中に直接アプローチするという非常に体に負担の少ない手術方法です(図①)。
 そのような経緯を得て、2016年12月に札幌市厚別区のJR新札幌駅直結のDUO2という商業施設内に当院を開業いたしました。2017年4月から手術治療を開始し、現在までの2年間で約200人の方が当院で耳科手術を受けられております。札幌市はもとより小樽、稚内、函館、旭川、名寄、釧路、北見、倶知安、帯広、岩内など広く道内から足を運んでいただいております。また、10歳から90歳までと幅広い年齢層に治療が提供できております。

手術治療を提供する症状

■図②

 では、どのような症状で手術治療を提供するのか?という点についてですが、主には
①聴力の低下、耳がこもる感じなどの違和感 ②耳漏(じろう=耳からツユが出てくる) ③耳鳴
 などを引き起こしてくる病気の中で、耳の穴から鼓膜、そして鼓膜の奥にある耳小骨と呼ばれる小さな骨の周りに病気があるケースです(外耳から中耳と呼ばれる部分:図②)。病気の名前で言いますと、慢性(穿孔性)中耳炎、耳小骨奇形・離断、真珠腫性中耳炎、鼓室硬化症、癒着性中耳炎、外耳道腫瘍・サーファーズイヤー、外耳道真珠腫、外耳道狭窄症、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎などが適応となります。年齢に伴う症状だと思っていた中には、治療によって治すことが出来るケースも含まれておりますので、思い当たる症状がある方はぜひ一度お近くの耳鼻科医を受診してみてください。
 ちなみに当院では耳の疾患だけではなく、幅広く耳鼻咽喉科領域の診療と治療を行なっております。そもそも、「耳鼻咽喉科ってどこをみる科なの?」と疑問に思われるかもしれません。答えとしては、首から上の脳と目を除く全ての領域が担当になります。言葉を変えると、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のうち、聴覚・嗅覚・味覚に関わる臓器の異常を捉えて治療する科となります。感覚器というのは人体にとって非常に重要な構造物であり、障害されると日常生活に多大なる影響を与えます。近年、聴力低下を自覚していながら放置すると、認知症のリスクが高まるという研究報告や、アルツハイマーやパーキンソン病などの初期症状として嗅覚障害が出現するなどの報告が出てきております。
 また、人が生きていくために必要である「口から物を取り込み胃や食道へと運び込む」という複雑な工程を行なっている領域も耳鼻咽喉科の守備範囲となります。最近、ある芸能人の方が舌癌で進行した状態から治療が開始となったというニュースを耳にした事があるかと思います。この舌を含む口の中、のど(空気の通り道と声を出す部位である「喉頭」と、食物の通り道である「下咽頭」と部位が分かれます)、これらに癌を含む様々な病が生じる可能性があるのです。
 普段の生活で「これくらいだったら様子を見てもいいだろう・・・忙しくて病院も受診出来ないし・・・もう少し悪くなったら受診しようかな」と考える事が多々あるかと思います。様子を見て良い場合もありますが、様子を見る事で治療に最適な時間を逃してしまう場合があることを忘れてはなりません。
全てをこの回でお話しすることは難しいですが、特に注意すべき症状とポイントについて「耳」、「鼻」、「のど」に分けて述べたいと思います。

耳・鼻・のどの注意すべき症状とポイント

【耳】
突然聞こえが悪くなった
●大きな音を聞いた後から聞こえが悪くなった
●耳がこもった様な、つまった様な感じ、耳が重たい様な感じがする
●突然音が響いて聞こえるようになった
●めまいがする
●耳からツユが出てきた
●耳の中が痛いのが続いている

【鼻】
●汚い色の鼻水が出る
●何もしていないのに鼻血をよく繰り返す
●鼻の奥に何かが流れる感じがする
●頬やおでこの部分に重たい様な痛みがある
●内科で異常がないと言われたのに咳が続いている
●匂いを感じなくなった

【のど】(タバコを吸っている、飲酒をしている方は特に要注意)
●声が枯れる
●のどが詰まった感じがする
●首にしこりがある
●物が飲み込みにくい
●よくむせる
●のどの痛みが数週間続いている
●舌や頬の内側に出来た口内炎が、治療を受けても1週間以上治らない
   もしも、これらに当てはまる症状がある場合には、様子を見ずにお近くの耳鼻咽喉科医師に相談いただくことをお勧めいたします。もちろん問題とはならないケースもございますが、私達が担当している領域は自分では見えない領域です。そのため、安心を得るためにも決して様子をみることはせずにお気軽に相談いただければと思います。

◆寄稿: 桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック 院長 桝谷 将偉氏
「メディカルページ札幌2019夏号」(令和元年7月12日発行)の冊子に掲載された記事です。


桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック
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