眼科医から見たメガネのお話。「どんな眼鏡をかけますか?」

新川中央眼科
小川 佳一 院長
札幌市北区新川3条7丁目1-64 TEL 011-769-1010

日本での眼鏡の使用率は約60%と言われています。また、ある程度の年齢になるとほぼ100%老眼鏡のお世話になります。しかし、なんとなくかけていませんか?
意外に眼鏡のことを聞く機会って少ないですよね。
今回はそんな眼鏡のお話を新川中央眼科 小川佳一院長に語っていただきました。
<取材協力>
小川 佳一 氏
(新川中央眼科 院長)
「メディカルページ平成25年度改訂版」(平成25年12月19日発行)の冊子に掲載された記事です。

遠用眼鏡、老眼鏡について

toku14b眼鏡を分類すると、遠くを見る眼鏡(普段かける眼鏡)と、近くを見る眼鏡(いわゆる老眼鏡)になります。この老眼鏡という表現、僕は嫌いです。英語ならreading spectacles、つまり読書用眼鏡です。こちらの表現の方が理解しやすく、目的もはっきりすると思うのですが…。専門的には遠用眼鏡と、近用眼鏡と表現します。

眼鏡だけで遠くも近くも全部クリアに見えるものは残念ながらありません。
カメラでピント調節をしないで手元30cmから遠くの風景まですべてピントの合った写真を撮ることはできないですよね。写したい場所に合わせてピントを調整します。眼も水晶体というレンズが厚くなったり薄くなったりしてピントの調整をしてくれます。

この調節能力が低下してくるのが老眼です。人工物である眼鏡のレンズには調節の幅を増やすことはできません。ですからそれぞれの距離に合わせたレンズを使うことになります。
通常の遠用眼鏡では5mの距離にピントを合わせます。近用眼鏡は手元30cmを基準に合わせますが、実際には患者さんそれぞれの見たいもの、見たい距離に合わせる必要があります。
料理をするときなら若干離れて50cmくらいが必要ですし、細かい作業(裁縫や工作物)ならもっと近いほうがよいでしょう。コンピュータの操作では画面は50cmですが、キーボードは30cm位になります。原稿を見ながら打つなら原稿の位置をどこの置くかで変わりますね。
どちらの眼鏡も1m~3mの中間距離は自分の眼の調節力でカバーしなければなりません。もしそこまで調節力がないのであればテレビを見る時用に中間距離に合わせた眼鏡を作る必要があります。

遠近両用メガネ、累進レンズって?

遠近両用眼鏡は遠く用の眼鏡の下の方に近く用のレンズを張り付けたものです。近くを見る時にはレンズのうち近く用の部分を使わなければなりません。メガネのフレームの下の枠スレスレの場所を使うことになりますから顔は下向きにせず正面を向いたままで、眼だけ下の方を見る姿勢です。慣れないとちょっと辛い姿勢です。
買い物に行った時にちょっと値段を見る、といった使い方ではよいのですが、書類や新聞を見るなど長く、じっくり見るには向かないのです。
最近は境目がないものが多く、自分でもどこを使っているか認識できません。実際使っているところを見ると遠用部で近くを見ていることも多いです。

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累進レンズというのは遠用部、近用部の移行帯が段階的になっているため、5mから手元まで対応できる優れものです。が、その距離に対応した場所を使用しないと結局度のずれた眼鏡と同じになってしまいます。つまり使いこなすにはレンズの特性を理解して多少練習が必要なんです。読書などの近方作業時には近く専用の近用眼鏡の見え方に勝るものはありません。コンピュータを使う場合には手元30cm~50cmの距離を両方使いますので近―近2重焦点眼鏡が便利です。

今後の眼鏡選びの参考にしてください。
◆寄稿:新川中央眼科 院長 小川佳一氏


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