函館で「元気で長生き医療講演」

新型コロナウイルスに打ち勝つ  脂肪肝や生活習慣病にも効果的な

「にこたま療法」を川西輝明先生が伝授

4月29日の講演会

肝臓専門医とは

川西先生は肝臓専門医の職域について、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど肝臓に伴ういろいろな病態に対応しており、肝臓には関係ないかと思われる食道胃静脈瘤などにも当たるほか、今はB型肝炎訴訟の資料作りもお手伝いしていると肝臓専門医の仕事を説明。

また札幌で開院している「肝臓クリニック札幌」、肝がん検診を全道各地で行っている「肝がん検診団」を紹介し、可能であれば年2回の検診。また肝炎ウイルス検査もぜひ受けて欲しいと話した。

「今日の講演は健康になるにはどうしたらいいのか。新型コロナウイルスに勝つためにも肝臓を丈夫にしていきましょうというのがテーマ」という川西先生は、健康になるためには健康な姿、やりたいことしている姿を思うことが、身体の免疫力や治癒力を上げると強調した。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の増加

川西 輝明先生

「私は肝臓を元気にすると世界が救えると思っています」と話す川西先生は、肝臓の病気は生活習慣を原因とするものとそうではないものに分けられると説明。生活習慣ではアルコール性脂肪肝が増えてきている。生活習慣以外では、日本の場合、多くの国民の命を奪ってきたB型、C型のウイルス性肝炎が主流だった。

しかし、今はNASH(ナッシュ)という非アルコール性脂肪肝炎という病態が分かってきて、飲酒しなくても肝炎を起こす。それも脂肪肝炎を起こすようになると多く見積もった場合約2割が10年ほどで肝硬変や肝臓がんを起こすことが分かってきた。

最初の報告は1980年にアメリカであり、その頃は日本にはほとんどいなかったが、2000年くらいから日本でも増えてきて、専門医の中では脂肪肝は早めに見つけて対策しようという考えになってきた。B型、C型のウイルスがいなくなり寛解した方でも、この脂肪肝炎を発症するので気を付けなければいけないと補足した。

また川西先生は、筋肉量が減少するサルコペニアについてふれ、日本で基準となるのは、男性は26kg、女性は18kgくらいの握力が天寿を全うできる確率。閉まっているペットボトルの蓋を開けるのに必要な力が26kg。開いているペットボトルを開けるには18kgくらい必要。肝臓だけでなく、糖尿病など他の病気でも起こるので筋肉を鍛えておくことが大事。

脂肪肝のさまざまなリスク

肝臓がんは肝炎が持続し、慢性肝炎、肝硬変へと進行していく中で、がん細胞が発生する。肝がんの原因はB型、C型のウイルスが8割を占めた。今はB型は飲み薬により治ったのと同じようになる。C型も飲み薬を8週間から12週間飲むだけで99%以上ウイルスが消えると話す川西先生は、どちらも早期発見でがんを発症しないということを覚えておいて欲しいと強調した。

脂肪肝は中性脂肪が肝臓の細胞の中に溜まる状態。これに炎症が加わると脂肪肝炎となり肝硬変や肝がんが起こりやすくなる。川西先生は肝硬変について説明した後、腹部のエコー検査、血液検査などで調べる。ALTが男性は25、女性なら17以上で脂肪肝を含んでいる数値と考えてほしいと強調した。脂肪肝は3割が肥満ではない人が発症している。1年で1000人の内1人は脂肪肝から肝がんを引き起こす。また、脂肪肝は、糖尿病、脂質異常、高血圧などいろいろな病気を合併する。さらに脂肪肝は全身のがんのリスクを上げるだけでなく、アルツハイマーや認知症の発症率も高めると注意した。

「にこたま療法」の効果

◆川西輝明先生のプロフィール■平成4年 北海道大学医学部 卒業■平成7年10月全国初の肝臓専門病院、稲積公園病院設立に参加■平成19年2月肝がん検診団設立■平成29年5月肝臓クリニック札幌 開院 ●肝がん検診団 団長・肝臓クリニック札幌 院長

「肝臓を元気にして、免疫力のバランスをとることがコロナ対策になる」という川西先生は、自ら実践し、さまざまなメディアでも紹介された「にこたま療法」についてと解説。

ダイエットを目的に崎谷博征氏が提唱する「原始人食ダイエット」を実践。ご飯・パン・めん類などの主食の代わりに卵2個を食べる。そのほかは野菜・魚・肉・卵などは自由に食べるという食事療法により減量効果だけでなく、肝機能値も正常化、不整脈も痛風も解消したという自らの体験を紹介。

食べないようにして欲しいのは人工添加物の入っている大量生産されている食品。低カロリーやゼロカロリーを謳った食品は、砂糖の代わりに人工甘味料を使っているので、肝臓が分解するのに負担が大きい。逆に砂糖を使った食材の方が肝臓にとっては良いと説明。

「いくら効果があっても嫌いなものを食べることはストレスが溜まるので食べないこと。自分が好きなものにこんなに効果があると楽しんで食べること」と川西先生は、楽しい食事が大切と話した。

最後に参会者全員で「青い山脈」を合唱して講演を終わった。

 

 


講演会場の函館総合福祉センター集会室ではコロナ感染対策に各机に1人の聴衆が着席し、机の間の間隔も十分に開けて行われた。講演のなかで川西先生は、人のいない外を歩くときはマスクを外すことも大切。また感染対策にはトイレの換気や消毒も大事とのアドバイスも行った。

川西先生の講演動画はここから【医療講演や歌の集いの動画】

 (取材日:2022年4月29日)


水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌
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