「歯は生命(いのち)」

clm_shika04docコラム投稿: 
じんない歯科小児歯科クリニック 院長 陣内 達志

「歯は生命(いのち)」というタイトルについて、皆さんは、息を吸う事、歩く事、食べる事、健康であれば、あまり意識することなく生活していると思います。それが、いざ、病気や怪我で、不具合になると、「健康でいること」の有り難味に気づくのではないでしょうか?

例えば、歯やお口の中に不具合が生じて、咬めなくなるとどうなるか。とたんに、楽しいはずの食事の時間が、憂鬱になるでしょう。その時、咬める事や食べる事の大切さに気づくことと思います。
では、実際に咬めなくなるとどうなるでしょうか。咬めなくなると、軟らかい炭水化物(例えば、ごはん、めん類、パン等)をとる機会が増え、歯ごたえのあるものや硬いもの(例えば、野菜、肉や魚など)食物繊維、ビタミン、タンパク質等、食べる事を控えることになるでしょう。そうすると、いわゆる「偏食」という状態になります。

食べ物が豊富にある現在では、カロリーが過剰になり、栄養のバランスが不十分になりやすいものです。これは、色々な病気のもとです。最近注目されている「メタボリックシンドローム」もそのひとつです。また、軟らかいものばかり食べている場合は、味付けが濃くなりやすいとも言われています。そうすると、塩分のとる量が増え高血圧になりやすく、心臓や脳の病気につながる場合があると言われています。また、咬みしめられないことにより、食べる時や運動する時、力仕事の時に力が入らないとか、またそれらがストレスになり精神的に落ち着かなかったりイライラしたりします。心臓から出て脳に行った血液の心臓への戻りが悪くなることにより、脳血流量が低下して、脳の活動(例えば、学習、記憶、総合的な判断能力)を低下させ、いわゆる「認知症」につながる可能性も指摘されています。

「歯や口が悪くなると万病に通じる」とは、昔からよく言われてきた事で、昔は歯が全て抜けてなくなると、その人の死期が近いと言われていました。現在は、医学の進歩で平均寿命が延び、必ずしも歯の寿命とは一致しないですが、食べられなくなることは人間にとって大変なストレスです。
これらのことから言えることは、歯と口が「食べる事」に直接関係して、口から「食べる事」が健康と活力、ヒトの持つ生命力の源になっているかということです。
そういう意味で「歯は生命(いのち)」というタイトルをつけました。


clm_shika04a歯や口の中が健康であるということは、もちろん生きることにつながり、歯を守るためには、歯や口のケア。健康を守るためには、しっかり咬めること、バランスの良い食事を摂ること。生命を守るためには、健康であり、生きる喜びを感じ、感動のある人生なら更に良いと思います。
そのために最も基本的で、重要なことは以下の5点になると思います。

  1. 歯と口腔のケア:口腔ケアと口のケアは同じ意味です。
    ~虫歯や歯周病の予防と治療/口臭の除去/唾液分泌の促進/口腔内細菌による感染予防
  2. 咬合、咀嚼機能の確保:よく咬んで食べられることにより健康につながります。
    ~消化吸収の促進/脳の血液循環亢進とアンチエイジング(老化防止)/食欲の増進
  3. 栄養摂取の改善:食事の改善により健康につながります。
    ~病気に対する免疫力、抵抗力の保持/活動のためのエネルギーの摂取
  4. 健康の維持、回復 ~体力の維持向上/活動性の確保
  5. 生きる喜び:その結果QOL(生活の質)が向上します。
    ~生きがいのある生活/食事の楽しみ/会話の楽しみ

clm_shika04bこれらがQOLの向上につながり、趣味等を通じてヒトとふれ合い、楽しい会話や感情表現が心を豊かにし、生きる喜びや明日への意欲をかきたて明るい笑顔につながります。これらは健康な口や歯から生まれます。
以上のように、歯を守る、健康を守る、生命を守る。これらの一番基本的なことは、歯と口のケアです。


そこで、歯と口のケアを中心に話をしたいと思います。

「虫歯、歯周病の治療とメインテナンスと予防」

予防は、ブラッシング、歯磨き(口の中を清潔にすること)につきると思います。歯が無く、入れ歯を使っている方は、入れ歯の手入れに該当します。
治療に関しては、専門家である歯科医師、歯科衛生士にまず相談し、悪い所があれば全て治療をして、その後定期的に検診(メインテナンス)を受けると良いでしょう。もちろん、歯や歯茎やあごの状態は人それぞれなので、当院では各患者さんに合わせて、悪い状態ながらも経過を見ていく場合もあります。生活習慣病の側面があるので、ブラッシングのポイントや生活習慣へのアドバイス、リスクコントロールを考え、情報を判りやすく説明することに日々努力しています。
10数年前から実践していますが、最近少しずつ定着してきた様で非常に良い傾向だと思います。何でも任せるのではなく、患者さん自身の参加型メインテナンスが重要です。これは、実感して頂ける方からは、かなり高い評価を頂いています。治療が終わっても、そこからが自己管理(セルフケア)のスタートラインです。治療を終えたこの快適な状態をできるだけ長く保つには、自分の歯の健康の意識改革が必要です。歯科医院での定期的な検診(プロケア)を上手に利用することが、歯やお口を守り全身の健康につながります。
虫歯や歯周病の予防、口臭の除去、唾液分泌の促進はもちろんのこと、バランスの良い食事をとり適度な運動を心がけることにより病気に対しての抵抗力を付けておくことも大切でしょう。

『歯と口のケアはプロケアとセルフケアでQOLを向上させましょう。』
何度も言う様に適切な歯と口のケアは、自分の歯を守り、健康を守り、生命を守るといっても大げさではないと思います。


じんない歯科小児歯科クリニック
歯科・小児歯科・矯正歯科
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開業/平成5年10月
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