医師の私が脂肪肝を克服した 「卵2個食い」(にこたま療法)で不整脈や痛風も改善!体重も20㎏減

医療法人水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌 川西輝明 院長
札幌市中央区北11条西15丁目2-1 桑園メディカルプラザ3階 TEL. 011-708-8080

肝臓クリニック札幌の川西輝明院長 先生に自ら実践、減量とともに脂肪肝を克服した「にこたま療法」の効果を解説してもらった。


「メディカルページ札幌2018冬号」(平成30年12月7日発行)の冊子に掲載された記事です。

肝臓の専門医なのに脂肪肝だった

私は、小中高と柔道をやっており、気がつくと体重が90~100kgになっていました。
とはいえ、運動量が多かったので、当時は筋肉質でした。
ところが、医学部の受験で10㎏、国家試験で10㎏太り、医師になってからも体重がふえ続けて、ピーク時には128㎏になってしまったのです。
身長が188㎝あるとはいえ、さすがに太りすぎです。

10年ほど前には、自分が肝臓の専門医でありながら、太りすぎで脂肪肝になってしまいました。当時の肝機能値は、AST(GOP)・ALT(GPT)がどちらも60~80(正常値はいずれも30以下)、γ-GTPが180~200(正常値は50以下。単位はすべてIU/L)という高い数値でした。

脂肪肝自体は、これといった自覚症状がないのですが、太り過ぎると共に、いびきも増え睡眠時無呼吸症候群にもなり、常に体の重だるい感じがありました。

お酒が原因ではない「非アルコール性脂肪肝」は、昔は心配ない病気といわれていました。しかし、近年、1~2割は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という病気に移行し、その約2割が10年ほどで肝硬変や肝臓ガンを起こすことがわかってきています。

脂肪肝と前後して、脈のリズムが乱れる不整脈発作にも襲われるようになりました。
最初は10分程度でしたが、だんだん長くなり、長いときは6~7時間も不整脈が続きました。
不整脈は、心配ないものも多いのですが、私の場合、心臓が苦しくなり痛みもあったので、とても怖い思いをしました。
このほか、尿酸値が上がり、痛風になって足の痛みにも悩まされました。

「このままでは、肝臓も心臓も取り返しのつかないことになるかもしれない」と思った私は、やせようと決心しました。
しかし、私は食べることが大好きなので、空腹をがまんする方法は続きそうにありません。

そこで見つけたのが、崎谷博征(さきたにひろゆき)先生が提唱されている「原始人食ダイエット」でした。

ご飯の代わりに卵2個を食べた

これは、ご飯・パン・めん類などの主食を控えめにし、野菜・魚・肉・卵などは自由に食べてよいという方法です。ご飯が大好きな私が「ご飯を食べてはいけない」と思うと、余計に食べたくなるので「魚と肉と野菜と果物を食べるといい」と考えるようにしました。

それでも、何かご飯の代わりになるものがほしいと思い、鶏むね肉を代わりにしてみました。しかし、毎回、鶏むね肉を食べていると飽きてきます。そこで目をつけたのが卵でした。

卵は、昔はコレステロールの問題で悪者にされていましたが、2015年にアメリカの食事ガイドラインから食事由来のコレステロールが外れることにより卵も制限がなくなりました。そしてさらに卵は最近は体にいい食品として見直されています。そこで、ご飯の代わりに卵2個を食べるようにしてみました。

これが大正解で、おいしくて飽きずに続けられるのです。卵の調理法は、ゆで卵、卵焼き、オムレツ、茶碗蒸しなど、何でもよく、味つけも自由です。基本的には、ご飯代わりにとりますが、ときにはプリンを作り、デザートとして食べてもかまいません。

この食事法で、私は最初、3食とっていましたが、次第に朝・昼は食べなくても平気になってきて、やがて夜の1食だけをとるようになりました。小腹が空いたら果物を食べます。

すると、4ヵ月で8kg、1年で12㎏、2年で20㎏やせて107kg前後で安定しました。

3食中1食だけご飯を卵に替えても効果が出た

肝機能値は、すべて下がって正常化しました。不整脈も痛風もなくなり、軽やかに動けるようになりました。

今、脂肪肝の患者さんたちに、「1日1食でいいから、ご飯をはずして卵2個を食べてみて。毎日が無理なら週の半分でも」と勧めています。それだけでも、3~4ヵ月で3~5kgやせて脂肪肝が改善する人が少なからずいます。

グラフはその一例です。40代の女性で、ご飯代わりに卵をとったところ、3ヵ月ほどで3㎏やせ、120前後あったAST・ALTが、どちらも40へと大幅に改善しました。

肥満と脂肪肝にお悩みのかたは、ご飯を卵にかえるだけで、やせて肝機能値がよくなるこの食事法をぜひお試しください。

◆寄稿:医療法人 水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌  院長 川西輝明氏


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